踏み出した一歩

せんちゃんとの出会いは5年前。

恥ずかしながら、当時の私は引きこもりでした。
外の世界が怖い、人が怖い、自宅から歩いて数歩の自販機に行くにもドキドキしてしまい、自分が大嫌いでずっ
と引きこもっていました。

そんな私は小さい頃からぬいぐるみが大好きで、色んなぬいぐるみをネットで見ることが好きでした。

きっかけはフモフモランドのHP。

フモフモランドのHPは、まるで絵本の中に飛び込んだような、ワクワクして楽しい世界でした。

そしてぬいぐるみは家族、ぬいぐるみに対する愛が伝わる優しい世界でした。

そこで発見したのがフモフモさん。
平たくて、優しい笑顔で微笑む可愛い子達が並んでいる写真を、毎日毎日、食い入るように見ていました。

そこで気になった子達をお迎えしてみることにしました。

届いた時は思わず涙が溢れました。
「こんにちは!」と微笑む姿に心がぎゅっと温かくなって、少し気持ちが明るくなれたようなそんな気がしまし
た。

それから毎日、フモフモランドのHPを訪れるのが日課になりました。

初めにお迎えした子達はMサイズの小さな子達でした。

その後、少し大きめのLサイズもお迎えしたくなり、せんちゃんを迎えました。

丁度いい大きさ、抱きしめた時の安心感。
心がほんわか温かくなりました。

そしてもう一つ、ずっと気になっていたHPの写真館コーナー。

皆さんの可愛いフモフモさんたちの写真、初めてぬい撮りという存在を知り、私も撮ってみたいなぁ、とぼんや
り思っていました。

せっかくなら外に出て、太陽の下でフモフモさんの写真を撮ってみたい。
けれど私は引きこもり、そんな勇気も持てませんでした。

人が怖い…ならば人出が少ない夜に外に出るのはどうだろう。
練習がてら、少し外出してみようかな。
覚悟を決めて、初めは夜に近所の公園へ出かけることにしました。

そこで連れて行ったのがせんちゃん。

一人じゃない、大丈夫、そう自分に言い聞かせながら、バッグから顔を出したせんちゃんの頭を撫でて一歩、ま
た一歩と進みました。

ドキドキしました、冷や汗が出てきてお家へ帰りたくなりました。

せんちゃんの可愛い写真を撮るのが目的だったのに、帰りたい思いが先に来てしまってパッと写真を撮ってパッ
と帰る。

最初はそんな感じでした。

でも諦めませんでした。
何度も何度も、せんちゃんを連れて公園へ行きました。

でもやっぱり日差しの元でせんちゃんの写真を撮りたくなりました。

けれど明るい時間に外出するのはもっと勇気がいります。

でも、一人じゃない。
せんちゃんがいる、大丈夫。

冷や汗をかきながら、ドキドキしながらせんちゃんと共に明るい時間に公園へ出かけました。

毎日続けました。

時にはしばらく乗っていなかった自転車にも乗って、出かけました。

勿論せんちゃんも一緒です。

そうして行くうちに、公園へ行っても緊張してすぐに帰っていた私が、公園のベンチでちょっと休憩したり、お
茶を飲んだりできるようになりました。

一番印象に残っているのはせんちゃんとのどんぐり拾い。

あの楽しい時間は一生忘れません。

それから、少しづつ外へ出られるようになりました。

そしてそこにはいつもせんちゃんも一緒です。

せんちゃんと自転車に乗ってお買い物へ行ったり、少し遠出して一緒にお花見にも行きました。

元々好きだった手芸やお裁縫も始めて、せんちゃんやフモフモさん達に洋服を作ったり帽子を編んだりしました

暗く、どんよりとした毎日が少しづつ変わっていきました。

今でも緊張しいな私ですが、いつでもせんちゃんをはじめ、ぬいぐるみ達がそばにいてくれます。

出逢えて良かった、心からそう思います。

そしてこの先も大好きなせんちゃん達と、楽しい時や悲しい時も共に過ごしていきたいです。

また、ぬいぐるみを通しての温かい輪が、フモフモランドがこれからもずっと続いていきますように…
そう願っています。